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【No.1100】医療を支える言葉(2)…11月8日

日本医師会会長の唐澤祥人(よしひとの「祥」は、本当は「示」に「羊」)氏は、墨田区は立川(たつかわ)に架かる二之橋のたもとの医院の院長。

医療コミュニケーションとして近年「インフォームド・コンセント」が大きな課題とされるなかで、問題提起もやはりその点は外せないという認識のようであった。
「インフォームド・コンセント」はわざわざ意味を書く必要もなかろうが、一応念のために触れておくと、「医療者が治療に当たって、患者に病名や病状、それに合った治療について説明を行い、患者の理解と合意の上に治療方針を決めていくということである。つまり、医療者が一方的に治療を施していくのではなく、患者の意志が尊重されるように医療を進めていくという概念だ。

ところが「医者はべらべらしゃべるものでない」という教育が昔は普通だったのだと唐澤氏は言う。
医療教育においては最近、この概念について触れられるようになったが、すでに医療者となっている人たちに、いかに話をするかという専門的な訓練の機関があるわけではない。あったとしても、今の医療メニューの多さや人手不足からくる業務多忙のなかで、これをどう実施していくかに大きな課題があるという。
そしてまた、患者にとって、どこまでのインフォームド・コンセントが求められているかという問題もある。それは、患者もまた医療者同様に多忙だという時代背景があるからだ。小さな子がいるお母さんや忙しいビジネスマンを長時間拘束することは難しい場合もある。
このようにインフォームド・コンセントというコミュニケーションの場をどう持つかという問題のほか、インフォームド・コンセントには基本的な課題もある。
医療でのコミュニケーションは日常会話のようにはいかない。それは、一般人が詳しくない情報、一般の人がマスコミを通してぐらいしか得ていない医療の情報をどう伝えるかということであり、またハッピーではないことをうまく伝えるにはどうすれば良いかという特殊な技術が必要とされることである。

(メモを参考に言葉を補いながら書き起こしているので、実際の話より広がりのある内容になっていることをご容赦)

日本歯科医師会会長の大久保満男氏は静岡がホームグランド。ユーモアに満ちた闊達な話術で、会場を何回も笑わせていた。
例えば、歯科医同士で集まると、「どこかにいい歯医者、いない?」と冗談を言い合うことがあるそうだ。よく考えれば当たり前なのだが、歯科医が虫歯になると、他の歯科医院の診察時間後に出向いて治療してもらうらしい。
このように「へえ」と耳をそばだてたくなる話題から徐々に核心へ入っていくというのも、まさにコミュニケーション技術の1つだと感心させられた。
大久保先生は開業医として地域のお母さんたちと連携しながら歯のケアを行ったり、養護学校の校医はじめ学校教育の場に出かけていったりと、治療だけではなく、予防にも熱心に取り組んできたという。

歯科を中心に医療のコミュニケーション全般を考えると、医師というものは患者の本当の痛みが分からないのに、それがどういうものなのかを推測して話をしなくてはならない難しさがあるという。
患者は患者で「痛くてたまらない」ということについて、まず話をしたい。自分の不安を理解してほしいと思っている。一方、医師は、そういう患者の痛みを早く取り除いてやりたいと思うから、治すために「いつから痛むか」「どのように痛むか」という情報を得ようとする。このようにお互いの意図にギャップがあるところで進めていかなくてはならないのが医療コミュニケーションだというのだ。

静岡の歯科医師会で、クレーム担当になったことがあるが、患者の苦情をよく聞いてみると上のようなギャップが見受けられた。そして、1970年代の終わりころから患者のとげとげしい苦情が増えた印象を受けたが、その根には、医療者と患者の小さな言葉のやりとりの行き違いがあることが多かったらしい。つまり、患者の不安から発せられる言葉に対し、医師が鋭敏に関わっていないのではないかと思える節が増えてきた。

そもそも歯科治療においては、治療中、口を開けてもらっている患者に「痛いですか」と聞いても相手は答えられない。したがって、治療前のコミュニケーションが大事であり、そのとき、医療情報以外のところで、互いに信頼関係を築くためのコミュニケーションが必要とされてくる。
例えば、歯医者に恐れを持つ子どもは口を閉じて治療もさせてくれない。治療に取り掛かるために、言葉だけで言い聞かせるのではなく、体を通してこちらに任せてもらえるような関係を結ぶことが求められる。このように、歯科の特異性に注目しながら、医療全般に敷衍できる医療コミュニケーションのあり方が語られた。
<この項つづく>
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中村びわ

Author:中村びわ
2004年から2011年まで書いてきた
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