スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【No.1074】名門大学のコレクション…9月23日

お彼岸なのに墓参りもせず、郊外の美術館へ出かける。良い休日が過ごせた。
祝日なので、上野をはじめ都心の美術館は混みそうだと避け、府中市美術館に向かう。リンクはこちら

前から良さそうな企画をやっている美術館だと思っていたけれども、ようやく行けた。
府中の森公園という、ゆったり美しく整備された公園の一角にある。
新宿から京王線特急で20分ぐらいで府中に行き、そこから20分ぐらい歩いてもいいが、「ちゅうバス」という100円で乗れる子ネズミみたいなマイクロバス(京王電鉄グループはほんまに企画力ありますなあ)で10分ぐらい。東府中駅からなら、徒歩の距離はもう少し短いようだ。
美術館も公園も、人でごちゃごちゃしていなくて、これまた「東京デート指南」――穴場スポットと言えそう。噴水のあたりや木立ち、丘のところで遊ぶ子どもたちを眺めながら、将来の家庭像を語り合うなど良いですね(火遊び向けではないですよ。火の使えるバーベキューエリアはあるみたいだけどね)。
絵に関係ないが、テニスコートが8面ほどあって、5面あいていた。もったいない。抽選制だと思うけれども、ラケット持っていけば良かった、使わせろ……という感じ。空いているところは空いているもんですなあ。

展覧会は、「パリ―ニューヨーク 20世紀絵画の流れ」というもので、どの絵画も、1960年代まで女子大だった米国の名門ヴァッサー大学の「フランシス・リーマン・ロブ・アート・センター」の収蔵品である。
ヴァッサーは「何か聞いたことあるな」程度の把握だったけれども、ケネディ夫人だったジャクリーンやジェーン・フォンダが在籍、メリル・ストリープが卒業したということ。そして、日本で初めて外国の大学を出た女性・大山捨松が留学。『菊と刀』(その昔、大学の教養必読図書でしたね。社会思想社がつぶれて学術文庫へ転身)で有名なルース・ベネディクトも輩出しているみたい。
[追記]光文社の古典新訳文庫でも近々出る模様
美術展の企画として、どこかの良いコレクションを持ってくるというのは堅いことですよね。金に物を言わせてばんばん買い集めたコレクションもあろうけれども、コレクションというのは大抵、コンセプトや嗜好の輪郭がある。展示の流れも立て易いことだろう。
ヴァッサーの場合は、やはり「リベラルアーツ」を意識していて、美術の教養として学生たちに最低限身につけておいてほしいことの入り口になる絵が揃っているように思う。目をむくような大作や有名作品はない。けれども、良い作家の秀作をきちんと押さえていた。

作品のレポートはこちらのブログによくまとめられているので、ご参照を……。
セザンヌらしい画風に移行する前の絵画やら、「やっぱりあるよね、ジョージア・オキーフ」で何が集められているかというと、女性らしい感性を恐れることなく表出させた、花と色に重きを置いた時代の作品やら、ジャコメッティの有名な彫刻群がタブローに置き換えられた感じのものやら。選択の視点がユニークで悪くない趣味(当たり前だ、米国のトップクラスの教養人が寄付したり集めたりしたものなのだから)の作品が並んでいた。
いまひとつの選択のための指標は、おどろおどろしい邪気の宿るものでなく、世の中を肯定的に見られる精神が見て取れるものだということではないだろうか。

最近、べン・シャーンの第五福竜丸の絵本が出て、少し話題になった。べン・シャーン作品も2点あって、彼の文明批評眼がラディカルにではなくシニカルに表れていて、観た人の解釈の広がりに期待するような良いチョイス。
この展示の看板作品の1つはドレ「パリの防衛」であり、これもいかにも「リベラルアーツ」の象徴とも言うべきだろうか。どういう絵なのかは、角度が悪いけれどもこちらで見られる。

私としては、70年代後半あたりから盛んに日本で紹介され、同時代感覚で知っていた現代美術群――典型的なもので言えば、ウォーホールやロイ・リキテンシュタインなどが、今まとまりとして並べられると、キワモノでなく、見事に絵画史の一潮流として定着したのだと知らされ、うーんと感じ入るところがあった。

府中美術館は、ヨーロッパの大学町にあるような雰囲気の明るい箱で実に感じよく、作品5点ごとに1人が鑑賞している具合の来場者数で、ゆるりとした鑑賞ができたのが嬉しかった。
絵画に添えられた説明も、どういうことに注目すると鑑賞が深まるかという親切な表示で、中高生や鑑賞に慣れない人にも気軽に楽しんでほしいという意図が伝わってくる。画家の公開制作が行われるという、子ども向けのワークショップの空間も素敵、カフェも良い感じ。
ああいう日常の景色に溶け込んだ美術館が、自分の散歩道にもあれば良いと思う。
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

中村びわ

Author:中村びわ
2004年から2011年まで書いてきた
「本のシャワーにさらす肌」
http://biwa.blogtribe.org/を、
こちらに引き継ぎます。

最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
RSSフィード
ブログ内検索
リンク
QRコード
QRコード
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。