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【No.1062】火山の島で(1)…8月22日

「ダイビングは癒しのスポーツと言われています」
海からエキジットするときに、ジャニーズ系の青年がこう言って静かに微笑んだのが、4月にサンゴ礁の多い奄美大島で初めてスクーバダイビングを体験したときのこと(ログはこちら)。人けのない白い砂につづく浜辺に、美しい水中世界に接した喜びに満ち足りて上がっていくことができたのであった。
それまでにまったく経験したことのない世界。途中、すべてのストレスからフリーになって、海中に暮らす生き物のように自分を感じることができた。お陰さまで……。

それが今回は、
「あ、お母さん、鼻血出ていますね。
耳抜きに結構、苦労していたみたいだもんなあ。
じゃ、行きましょ、行きましょ」
「ええっ、鼻血っ。鼻血なんて出ちゃっているの~!」
――すたすたすた。
ベテランのガイド氏は、私たちのフィン(足びれ)だけ持って、どんどん歩いていく。
「おいおいおい、待ってくれぇ。どうか、もっと構って、構って。やさしさのか・け・らを~!」と口にしたいのをこらえて、後を追って駐車場に向かうのであるが、そこは足元に大きめの石がゴロゴロした波打ち際。そしてそれに続くコンクリートの段が高い階段。さらに、気圧の関係でふらふらになった身体に重いタンクを背負って段をのぼったあと、上の道路まではまだ数十メートル歩かないといけないのであった。
駐車場にたどり着いたところで、「鼓膜が破れるんじゃないかと何回か思ってちょっと怖かった~。それに、アーチの前あたり、潮の流れがあって、結構冷たかったですよね」と言うと、「だいじょうぶ、だいじょうぶ。あそこまで行けたら、まーったく心配ないですよ」と軽く受け流されてしまった。

スキー場で言うと、奄美大島はルスツ、トマム、軽井沢(軽井沢ではスキーをしたことがないけど)、草津、斑尾といったリゾート系、そして今週2泊3日の滞在をしたきた伊豆の大島は石内丸山、戸隠(この2ヶ所は行ったことがないけど)といった体育会系、それほどに差があるのであった。
火山の度重なる噴火で形成された伊豆大島は浜の砂も黒く、海岸は岩がちで、湾らしい湾はなく、黒潮に洗われ放題。野趣に富む風土のせいか、粗野というのではないが、「しっかり自立していないと身は守れん」と言わんばかりの住人の素朴さ、朴訥さが印象的であった。
まあ、学生時代に、ヤンキー系の皆さんが甚平をお召しになり、雪駄をお履きになって海水浴を楽しまれに出かける、神津島という伊豆七島の別の島に3回行ったことがあるので、何となくチャラチャラ系「リゾート」という雰囲気ではないという感じは分かっていたけれども……。

物のサービスの提供の仕方にはいろいろあるが、ダイビングサービスというのものにもスタイルに歴然とした違いがあると知って面白かった。サービス・スタイルが地形に対応している気がする。
その日、体験ダイビングで使われたのは「野田浜」という、大島的には初心者OKのポイントらしい。確かに、若いイントラ(インストラクター)のお兄ちゃんが向けるデジカメに、きゃあきゃあ言いながらポーズする若いお姉ちゃんたちのグループなどもいて、必ずしも体育会系ばかりではないようだったし、奄美と違ってプライベート感がなく、エントリーするあたりを道路から見下ろすと、かれこれ30人ぐらいのダイバーたち(それはトップシーズンからは落ちている数字らしい。私には渋谷のスクランブル交差点のように見えたけど)がちゃぷちゃぷしていて、よく使われる場所だと分かった。
けれども、潜ってしばらく行くと、ごつごつした火山岩に次から次へ出くわすあの場所で「ダイビング事始め」をもし体験していたら、また改めて潜るのに挑戦してみようと気軽には思えなかったのではないかという気がする。魚の種類の豊富さや火山が造った地形の不思議さに目を奪われ、それを見られたことの満足が最終的には勝ったものの、「癒し」という感じではなかった。場所によっては結構大変な思いをするレジャーなのだなあという新しい認識があった。勇気と体力にある程度自信がある人でないと、挫折することもありそう。

奄美の内湾は潮のうねりがまるでなく、白い砂の海底とサンゴ礁、サンゴに群れる魚たちが幻想的ですらあったが、大島のそのポイントは、火山が造った複雑な岩の間に若干の潮も入り込む場所だからこそ魚たちが好むのであって、素人がらふら泳ぎ回れるような自由さは許されないのだった。
私たちが背中にしょったタンクの部分を、ガイドの人が常につかんでいた。軌道、方向をうまく修正しながら、そこに住んでいる主な魚たちをお客が見損なわないように、岩べりに近づけたり、通り抜け易い高さへ上げたり下ろしたりという技術のいる重労働に助けられ、ずいぶんいろいろな種類の魚を見ることができた。
ガイドの主たる仕事はお客の移送なので、顔を見合せて「耳抜きはだいじょうぶか」「OK」「呼吸は苦しくないか」「OK」と手のジェスチャーでいちいち確かめ合うでもなく、ホワイトボード(名前、何て言ったか忘れた)に出くわした魚の名前をいちいち書いて教えるでもなく、とにかく見て回る。
「あれで20分ぐらいだった」と後で言われたけれども、奄美の1本35分が短く感じられたのに、大島の1本20分は40分ぐらいに感じられた。体感温度も大きかったと思う。5ミリ厚の標準的なウェットスーツ着用であったが、私たちは脂肪が少ないので、あまり一般的でないというロクハン(6.5ミリ厚)ぐらいのあったかなスーツでも良かったのではないかと思えるほど。海上は31℃なのでしたけれどね。首や腹が水の冷たさを感じ取った。

お世話になったのは、大島では上級者対応にも定評ある様子のグローバルスポーツクラブ。HPで見ると、飼い犬がなぜか奄美大島生まれらしい。うちの息子よりはるかに頭の良さそうなワンちゃんだった。息子の社会の自由研究絡みで、火山と海洋生物について事前に問合せをしたところ、丁寧にまとめたレジュメまで作成して頂いてしまった。何かお礼をしなくちゃ。
このサービスの海ログは毎日大きめの写真が何枚か貼ってあって、見ていて楽しい。自分が見られた魚もある程度、それで確かめられる。
それから、野田浜のポイントの地図はこちら。「-13」という数字の近くに弧があるけれども、それが溶岩が固まってできた天然のアーチなのだ。水没したロンドン橋という感じ、まあそんなに大きくないけれども、その下をくぐるという体験がとてもワクワクものだった。くぐったところに、ハナゴイというのかな、ピンクがかったきれいな魚が群れていた。
真下をアカエイがよぎったり、卵を守るクマノミ(日本に6種類いるけれど、大島には1種類)父さんが幼魚連れでイソギンチャクから飛び出していたり、アメフラシという不思議な生物が岩に張り付いていたり、名前は知らなくても20種類超の魚に目を留めた。足が立つエントリーの場所にも、足もとに鮮やかな青い小魚がうようよいた。つまり、シュノーケリングの磯遊びでも楽しめるっちゅうわけです。オリンパスで出しているような5メートル程度の防水のカメラであっても、それが撮れるということになる。うちは初期に買ったデジカメが350万画素ぐらいしかなくて、携帯電話のカメラ機能にも劣るもの。いまだアナログの一眼レフを旅行記念写真用に使っているので、こういうところに写真を上げない。今回こそ新調しようとして、また見送ってしまった。
<この項つづく>
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中村びわ

Author:中村びわ
2004年から2011年まで書いてきた
「本のシャワーにさらす肌」
http://biwa.blogtribe.org/を、
こちらに引き継ぎます。

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