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【No.1050】東京デート指南のつづき…7月20日


「世界報道写真展~2008~」と「昆虫4億年の旅」をペアで見たことの意義なのだが、前者が人間の営みの愚かさ、歪まずにはあり得ない社会のありようといったものを浮き彫りにしていたのに対し、後者が自然界の調和や美しくも不思議な世界を表現していたという対照性、それにより両者がより強く刻まれるということだろう。どちらも同じ地球の上で捉えられた瞬間である。
しかし、「自然は調和している」「自然は人間に比べて美しい」というのは安易な表現だ。昆虫を含む生物の世界には「捕食」による連鎖があり、これはこれで「戦争」「紛争」「暗殺」「虐殺」並みに厳しい世界でもある。

どういう話の流れなのか忘れてしまったが、13歳の男の子とカフェで話していたとき、自然環境における「犬の立ち位置」「人間の立ち位置」についてああだ、こうだとなった。人間は知恵があるから偉いと自分たちでは思っているが、どちらが偉いなどという判断を下さない犬の方が遥かに偉いのではないか、その犬は、ブリーディングにより人為的に個体数を変えられている…ってなことを語っていたのであるが、昆虫もまた、人間により保護され繁殖されることもある対象でもある。しかし、しかしながら……。

今森光彦氏の写真については、すでに多くの出版物も出ており、昆虫の表情や肢体の面白さや造化の妙が、きめの細かいプリントで再現されているのに感心させられてきたが、展覧会向けの大型プリントはまたひとしお驚異的な世界を体験させてくれた。
実は、報道写真でかなりテンションが下がってしまった。報道写真の順路の最後はやはり大自然が収められたもので、最後に希望や癒しになるものを、という企画者の意図はうかがえた。それにしても、あまりにもあまりな人類の現実にどよ~んとしてしまったのが正直なところ。
色鮮やかで珍しいプリントの数々を見て、こちらを後にしてやはり正解であった。十二分のわくわく感に浸された。

ずらり並べられた、撮りためられた卵の数々、幼虫の数々は人種のバリエーションを思わせる。人種間の調和は今のところ極めて難しい。だが、今森氏は自然だけに目を向ける写真家なのではなく、人と自然の調和をテーマに、『おじいちゃんは水のにおいがした』(書影リンク先に中村コメントあり)のような作品も手がけている。
知恵は破壊行為も行うが、調和を躍進的に進めることも可能だろう。それを実行する人びとの紹介もしているのだ。

見てきたのは昆虫の妙なる世界であったが、行き着いたのはやはり「里山」で、この概念はさまざまな「共生」「調和」に結びつく哲学的なものである。
完全な「孤」はあるのか。孤に閉じることなく、ある一つの環が別の環にリンクして層を成すのがこの世界であり、森羅万象であり、この宇宙なのであろう。環と環の関係を調和させるのか、歪めるのか、破壊してしまうのか。すべての現象がそこに集約されてしまう。

デート指南は、そのような思索にまでは誘えず、写真美術館のあとは渋谷卓球倶楽部、そして文教堂書店で夏読用に『時をかける少女』ほか2冊の文庫本を買い与える。
哲学、社会問題、世界観といった話題は人を選ぶので、ご用心。
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中村びわ

Author:中村びわ
2004年から2011年まで書いてきた
「本のシャワーにさらす肌」
http://biwa.blogtribe.org/を、
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