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【No.1048】枝打ちされる言葉のつづき…7月13日

グレイス・マークスがどういう生い立ちで、どういう動機の元に犯罪に関わったのか、あるいは本当に共犯者だったのか、本当のところはあまり詳しく伝えられていない。
グレイスが裁かれた裁判の記録があり、収容された監獄と精神病院の記録文書があり、懲治監時代にグレイスが語った話をまた聞きして起こされた、スザンナ・ムーディという作家の出版物があり、それらは矛盾だらけで「動かぬ事実」は少なかったという。
マーガレット・アトウッドは既知の事実はそのままに、矛盾を整理して「あり得たこと」に置き換え、示唆されたことや明白な食い違いについては自由な創作の領域と判断して、この小説を書いたという。
本邦(ん? いつの時代の表現?)で言えば「安部定物語」ということになろうか。
もっとも安部定は情痴に狂った女という定説であるが、アトウッドが創作したグレイスは、知性、そして清潔感を備え、「この女性が犯罪者だったのか」と思わせる人物となっている。

知性や清潔感が受け止められる「語り」を、作中でグレイスにさせているのである。そして、語りを引き出すに必要なのはインタビュアー、この役を精神科医サイモン・ジョーダンという創作した人物に務めさせ、彼にもまた日常生活を破綻させかねない私的領域を与えて小説を進行させていく。
<この項つづく>
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中村びわ

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