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【No.1411】語りの妙『へんなどうつぶ』




ワンダ・ガアグは、とびっきり愉快な絵本『100まんびきのねこ』で有名で、ボヘミア移民の子としてミネソタ州で誕生したのだ。

石井桃子さんが愛したウィラ・キャザー『マイ・アントニーア』という美しい小説のアントニーアもボヘミア移民で、ネブラスカ州に入植した設定だった。

何で移民の話なのかというと、移民の家庭では、親が子どもに自分たち民族の文化や言語を伝承するため、母国で語りつがれてきたおはなしをとても大切にしていただろうということが言いたい。
ストーリーテリング、そして物語の伝統もいっしょに海を渡ったのである。
むろん入植した先、先住民たちのなかにも同様の伝統はあった。
人がことばを身につけるため、人がことばで愉しみコミュニケーションを図るため、物語は機能していたのだ。

さて、『へんなどうつぶ』を初秋という季節に選んだのは「移民」には関係なく、おいしそうな食べ物がたくさん出てくるからだ。
山奥のトンネル状のうちに住んでいるボボじいさんは、ほらあなの入口に食べ物を並べて、どうぶつたちがごちそうになりに来るのを待っている。
りす用のくるみケーキ
ことり用の種入りプディング
うさぎ用のキャベツ・サラダ
ねずみ用のチーズ・ボール。
食べたくなるだろ、ほれほれ、ほれ。

ところが見たこともないどうぶつがやってきて、自分はどうぶつでなく「どうつぶ」だと主張して、そこに用意された食べ物でなく、好物は子どもたちの人形だと言い出すのだ。
心やさしいボボじいさんは、子どもたちが大事にしている人形を食べられてはかわいそうだと、一計を案ずる。

黒インクだけで描かれた絵に力強いまでの優しさと機知が感じられるのは、一つひとつの線や形にしっかり魂が込められているから。
ことばにも筋にも無駄がないストーリーに吸い込まれてしまうのは、語りつがれてきた物語が支えてきたものへの敬意があふれているから。
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テーマ : 絵本
ジャンル : 本・雑誌

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2004年から2011年まで書いてきた
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