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【No.1410】『概説子ども観の社会史』に学ぶ




大学院の修士ゼミの一つでテキストに取り上げられ、知的好奇心の高い人たちといっしょに読んだ本。

指導教官は子ども社会学、幼児教育・家族の変遷、それらに関する政策比較等が専門。
ジェンダー、教育格差、家族問題等に鋭い問題提起をしている、非常に魅力的な指導者で、その先生からのトピックス提案が常にあったことも大きかったが、ゼミの真ん中にあっていろいろな観点や要素を提供してくれる内容の本だった。

日本語版への序文で筆者が明らかにしている取り組みのポイントは以下。
(1)子ども期の観念の進展:啓蒙思想とロマン主義運動に結びついた観念の大きな変化は18世紀末から19世紀初めという指摘
(2)子ども経験のとらえ直し:ここ500年の時代・文化・社会の水準でとらえ、急激かつ意義深い変化を把握
(3)子ども期の観念と子どもである経験の結びつけ:(例)ロマン主義のあるべき子ども像を知り、児童労働の非人道的待遇を理解するというようなこと

むかし経済学部でマルクスやウェーバーをかじった自分が、第6章「子どもの救済―1830年頃-1920年頃」の前半に当たる「児童労働」「路上生活する子ども」の報告担当者になったことに奇縁を感じる。
学部時代は、経済発展を歴史的にとらえ、さんざん「産業革命」という言葉を目にしていたというのに、それが児童労働に支えられているという点をまったく意識していなかった。
歴史はある観点に絞って見ると面白いが、そうすると他の位相はまるで見えなくなる。
それは、「今を生きる」ことについても同じことが言える。

レジュメ作成のため次から次、古い資料を引っ張り出して調べていたら面白くなってしまい、「チャーチズム」「煙突掃除年季奉公」「市民結社(19世紀の博愛団体を中心に)」に関して少しずつまとめた付録も作成した。
これら項目の一つひとつがまた、大きな研究テーマとなるもの。
とりわけチャーチズム(1838-58年に拡がった英国労働階級の議会改革運動)が、ロシア革命に先立ち世界最初のプロレタリア革命になりえたものであったのに、明晰な理論がなく、不適切で日和見的な指導のため、失敗に終わったという歴史学者の見解があるという記述(トムソン,D,古賀秀男ほか訳(1988)『チャーチスト』日本評論社)に、歴史って「あざなえる縄」のようだと感じ入る。

どういう時代のどういう社会に生まれ合わせた子どもか、という点もまた、ルネッサンス以降の500年を概観しただけで「あざなえる縄」としか言いようのない意外性や多様さに満ちたものであった。
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ジャンル : 本・雑誌

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2004年から2011年まで書いてきた
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http://biwa.blogtribe.org/を、
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