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【No.1396】あいまいなニュアンスを豊かに表す日本語

ツイッターの方に少し書いたのだったかな。
暮れも押し詰まった一日、英語絵本のリーディング活動をしているJPIC読書アドバイザー仲間と、英語と日本語絵本のジョイント読みきかせをする機会をいただいた。
「ジョイント」なんて書くとカッコいいけど、つまり両者をちゃんぽんでやってみたというわけ。
パートナーとなった方が、とてもエネルギッシュで知的で、いろいろな経験が豊富だったので、実に楽しい試みだった。

英語絵本には少しだけ思い出がある。ホームステイをしながらイギリスの英語学校に5週間だけ通った時、書店で何冊か絵本を買い求めて読んでいたら、教師をしているというドイツ人のクラスメートに「絵本を読むって、英語の勉強にとてもいいと思うわ」と言われた。何のキャラクターだったか忘れてしまったが、確か名の知れたキャラクターの絵本だったので、ドイツ語版で読んだことのある彼女が、嬉しそうに話しかけてきたのだった(こういう言語を超えた交流ができるのも絵本の魅力!)。
物語のペーパーバックは学校にも置いてあり貸し出し可能で、薄っぺたいのを何冊か読んでいた覚えがある。だけど、そこに絵本の収蔵はなかった。

さて、読みきかせ。
英語絵本とのジョイントは初めてだったので、充実の絵本コレクションがあるパートナー宅にお邪魔し、「これはこういう本」という説明をしてもらいながら選書したりプログラム作りをしたりの打合せになった。何かとても贅沢なひとときを過ごした。
彼女は、3年間の英国滞在歴があり、それがちょうどお子さんと絵本を楽しむ時期に当たっていたらしい。そういうわけで英語絵本がどういうものかやら当地の子育て事情やらに詳しいのだけれど、若い層に英語を教えるため、つい最近、大学で英語を学び直したということ。

英語の絵本でどういう動物が使われているか、日本語の絵本では、この動物はどういう役回りかなどという両者の違いについて話している時、「擬音・擬態語」についての違いも分かって面白かった。
日本で出版されている赤ちゃん絵本、幼児向け絵本を調べれば「おお、確かに」と納得できると思うが、擬音・擬態語が実に多い。

ぴよぴよ、よちよち、がたがた、ばんばん、そろりそろり、ひゅうひゅう、すいーっ、にょろり、ぴょーん

その一語だけで、絵が鳴き出すような動き出すような、そういう場面があふれている。
そして、上に挙げた語を見ていただけば分かるように、畳語、つまり同じ音を重ねるのが多いのが特徴である。

ところが、英語では、どうも話し言葉で若干の擬声語(擬音・擬態語をまとめて)があるようだが、書き言葉では、ほとんどそれを用いないらしいのである(この辺、私が後から調べたことも含めて書いている)。

犬が鳴くのはbow wowだが、繰り返しの音にはなっていない。
紙しばいに『みんなで ぽん!』という楽しい作品がある。観客が皆で手を打つと、ブタやケーキが大きくなっていく。子どもたちが集まる場で、外れのない紙しばいの一つである。
この「ぽん」に当たる英語はなく、「訳すとなるとClapよね」と言われ、「そうか、そういうことになるか、なるよね」と新鮮な驚きがあった。

自然や物への注意深い観察から、感覚的に引き出した日本語の音による表現。
この豊かさ、ユニークさについて、あれからずっと考えている。

また、赤ちゃんは上下の唇を触れさせて出す「両唇音」が好きだ。それは、赤ちゃんが最初に出しやすい「マンマ」「ママ」「パパ」といった音との関連があるのだろうか。
「ぷるん」「ぶーぶー」のような「ぷ」「ぶ」といった音がテキストに出てくると、顔をぶるっと震わせるような反応を見せることもある。

下の絵本2冊は、いずれも「ふしぎなたね」という、小さな子に科学の芽を育てる福音館書店の絵本シリーズである。
『かぜフーホッホ』は、あちらこちらで聞こえる風の音を様々な音で表現しているし、『でんしゃはうたう』は擬声語オンリーで作られた絵本である。
どちらも読みきかせをするのは、なかなかに難しい。何度も繰り返し読み、音が選ばれた意図をしっかり感覚でつかみ切ってから臨まないと失敗してしまうだろう。

英語では、こういう絵本は出てこないのだろう。そして、これらを翻訳するとなると難しいのだろうなと思いつつ、微妙であいまいな状態を「音」に頼って表そうとする日本語の独自性について、幾度も感心している。
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テーマ : 絵本
ジャンル : 本・雑誌

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中村びわ

Author:中村びわ
2004年から2011年まで書いてきた
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http://biwa.blogtribe.org/を、
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