スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【No.1384】「教養」の基礎なす読みもの群


外国人と話す時、あたりさわりがなく話を弾ませられそうな話題として、子どもの時によくやった遊び、よく歌った歌、読んで面白かった本などといったものは便利に使えそう。
「読んだ本」というのは、話す相手が文字の読める人、先進国の人、一定の教育を受けた人に限定されてしまうが、語学力やマナー、フレンドリーな人柄、自分の属する社会の伝統・文化についての知識などと同様、交流に外せない素養だという気がする。この場合、自国の作家の本ということでなく、世界の少年少女、若者に広く読まれている名作の類い、人類の文化遺産と呼べるものということになる。
実際、ジュール・ヴェルヌ『地底旅行』の話を、少し年下の外国人としたことがある。ヴェルヌ級になれば、そこを皮切りとして文明について話を展開させたり、空想力の大切さについて意見を交換したりといったことも可能になる。

読みものは楽しむために読むわけだけれど、読んですっとする――つまりワクワクしたい欲求を消費的に満たすためだけではなく、読んで「おや、これは広がったかもよ、自分の世界」と、いつか思えるようになれそうな本を選んでの読書は、伸び盛りの若い世代には欠かせない。
また、子どもの内面を耕してくれる本というのは、がっつりした読書に挑めない大人にとっても大変ありがたい。最近、すきま時間を利用して読んで、そのありがたさを感じた本4冊について書いてみる。
どれも岩波書店刊。うーん。
やはり、岩波の子どもの本は、教養人を育てていくために出すというコンセプトが崩れていないということなんだろう。

うち3冊は岩波少年文庫であるが、その各冊の後付に「岩波少年文庫創刊五十年――新版の発足に際して」というマニフェストがある。
「……(前略)……歳月を経てなおその価値を減ぜず、国境を越えて人びとの生きる糧となってきた書物に若い世代がふれることは、彼らが広い視野を獲得し、新しい時代を拓いてゆくために必須の条件であろう。」「幼いころからの読書体験の蓄積が長じて豊かな精神世界の形成をうながすとはいえ、読書は意識して習得すべき生活技術の一つでもある。」
などと書いてあり、後者の後につづく結びの一文にいつも胸を熱くする。
「岩波少年文庫は、その第一歩を発見するために、子どもとかつて子どもだったすべての人びとにひらかれた書物の宝庫となることをめざしている。」

『消えた王子』は、『秘密の花園』を書いたバーネットの知る人ぞ知る傑作。仮想のヨーロッパ国サマヴィアの伝説の王子の血筋が復権することを願う秘密組織の暗躍が、強い友情で結ばれた2人の少年の視点から書かれる。500年前の政変以来、正統な王の家系の末裔がその高貴な身分に相応しくひそかに育て上げられ、その一族を支えるべく臣下の子孫もひそかに訓練されてきた。
日本の天皇の棺を担ぐため、先祖代々教えを受け継いでいる「八瀬童子」のような、信じ難いスケールの大きな話だ。

スケールが大きな話だが、惹かれるのは、ちょっとした部分だったりする。
いったん、こつを心得れば、心の働きによって体を思うようにコントロールできるということをマルコは本で読み、父親からもそう聞かされ、実験してみるうちに、ふしぎなことに気づいた。(上巻P125)

ここには「自己管理」「自己暗示」の大切さが読み取れる。それといっしょに、「本を読む意味とは、どういうものか」「知恵ある大人に話を聞くと、どうなるか」「試行錯誤してみれば?」などといった教えも読み取れる。
そういうことは読んですぐ気づけるものではない。いつか気づけるかもしれないことを願って「種」が蒔かれているのだ。やはりバーネットはすごいやと感じ入る。
<つづく>
スポンサーサイト

テーマ : オススメ本!!
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

中村びわ

Author:中村びわ
2004年から2011年まで書いてきた
「本のシャワーにさらす肌」
http://biwa.blogtribe.org/を、
こちらに引き継ぎます。

最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
RSSフィード
ブログ内検索
リンク
QRコード
QRコード
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。