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【No.1353】花をたむける

再びアン・マイクルズ『冬の眠り』(早川書房)より。

恐ろしいことが起きた場所に花を置く。みんなこれを本能的にやる。交通事故が起きたところとか、誰かが射殺された建物の前とか。それは死んだ人が眠っている墓に花を手向けるのとはまた違う。同じ花でも違うんだ。恐ろしい死に方をした人がいると、いつの間にか花束が現れる。それは暴力的な傷の上や、無垢の神経が最後の痙攣をした後で動かなくなった場所に無垢のしるしを残そうとする必死の本能だ。ドイツ軍による占領が終わった後、雪の積もった廃墟で一番最初に商売を始めた露天商は、花屋だった。
[中略]
でも彼らはこの単純明快な事実を指摘しなかった。墓には花が必要だし、人が恐ろしい死に方をした場所には花が必要だということを。花こそが、まず最初に必要とされたものなんだ。パンよりも前に。言葉よりもずっと前に。
(P240/黒原敏行・訳)


あまりにも長く引用するのは、著者たちにも出版社にも申し訳ないので、無理に中略にした。そこには、悲劇の起こった場所で商売をする花屋について、くだらないことを書いたりしゃべったりするジャーナリストへの批判的な記述がある。

商う花さえも流されてしまったり土にうずもれてしまったりした場所で、「無垢のしるし」に、ただ合わされたであろう手、閉じられたであろうまぶた。何とか持ち出された楽器で、捧げられた音楽もある。
「せめて人を送る野の花でもあってくれれば」という思いとともに……。
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