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【No.1159】幻想のコレクション…6月9日

図書館も好きだけれども、よくよく考えてみると、棚にある本のすべてが好きというわけではない。抜き出して、玄関前で焚書したいようなものも多くまぎれている。それを考えると、博物館の方が好きなのかもしれない。燃やしたくなるようなものは図書館よりはるかに少ない。
特に、2007年4月、14年をかけた改修を終えてグランドオープンした国立科学博物館――ここにあるものは、害虫の標本1つにしてもロマンを帯びているような気がしてしまう。

とりあえずは、「フーコーの振り子」とともに、ある程度の年の人なら必ず見て帰りたいと思う、忠犬ハチ公の剥製。絵本と並べてみる。

科博は日本館と地球館に分かれていて、日本館の方は昔ながらのレトロモダンな建物を使っている。展示に当たっては、柱や天井などが邪魔になるというデメリットもあったらしいが、建物の保存をしながら、建物を生かした展示を何とかしようという方針で、デザインを練りに練って陳列を完成させたということである。

こういう意匠が至るところに見られて、階段の昇り降りや廊下を歩くだけでも楽しい。美しいステンドグラスも沢山ある。

実は、国立西洋美術館に「ルーブル美術館展」を観に行ったのだ。赤坂の草ミッドタウン公園にほど近い国立新美術館の方で「ルーブル美術館展 美の宮殿の子どもたち」の方は5月に観ることができたのだが、上野は80分待ちであったので、諦めてしまった。
それですかさず、「きょうは石を見に行こう♪」と切り替え、すぐ横の科博へ向かった。
石はいろいろ置いてある。地球館と日本館に分けて、化石、隕石、鉱物などが置いてある。ちょうど今、ゾウの鼻くそ程度(失礼)の大きさの「月の石」展もやっている。

しかし、一番見たかったのは鉱物で、科博が誇るコレクションの1つ櫻井コレクションである。櫻井博士は、家業の料亭「ぼたん」を経営しながら、小学生の頃から好きだった鉱物をずっと集め、遂には日本の鉱物の9割を集め、ほとんど独自に研究に取り組んでいたのである。大きなものを選ぶのではなく、研究対象として意味のある形状のものを選ぶことにこだわったようだ。こちらの出版社・工作舎の日記に、そのコレクションの特徴のことが書いてある。
このコレクションは薄暗い、これ専用の小部屋に並べられている。1つ1つ眺めていると、もうどうしようもないぐらい美しい造化に陶然となってしまい、時を忘れる。こういうものを愛した稲垣足穂や宮澤賢治のことなども思いながら、宇宙的な神秘の力を秘めた石が、語りかけてくるのを受け止める。

石と言えば、最近はアクセサリーの業界で天然石がかなり来ている。
勝間和代さんのムックを少し立ち読みしていたときも、「スーツはブルックス・ブラザーズか。このネックレスは流行りのインカローズであるなあ」と眺めていた。ポジティヴ志向の彼女も、運の良いものの恩恵をしっかり受けながらの活躍のようだ。
天然石アクセサリーは、ブームのお陰で手に入れやすくなって結構なことである。身につけているとやはり、魔除けの効果も感じられるし、幸運を引き寄せている感じも確かにある。カットされた貴石を買っていると大変ということもあるが、むしろお高い宝石になったものより、天然石の方が身につけるには気軽で良く、さらには興味としては原石が面白い。天然石レベルだと、スピリチュアル・パワーをもらうというような、どこか儀式めいた感じもあるが、原石となると、これはもう、儀式のような文化的フィルターも通さない、人間と自然・宇宙の直接対話となる。

思い出せば、昔むかし、旅先のこちらの国立博物館で、充実しているけれども、ほこりをかぶったような標本を、随分長い時間をかけて飽かず眺めた。あの時、するりと素直に鉱物のもたらす幻にとらえられていれば、今は何かもっと別のことをしていたのかもしれない。

きょうは、特に岩手の和賀仙人鉱山から掘り出された「赤鉄鉱」の黒光に魅せられた。

鉱物の他には、「霧箱」という宇宙線の観察できる装置が素晴らしかった。
ボランティア・ガイドの感じ良い女性が、「きょうはよく見えます」と教えてくれた。その運も身につけたアクセサリーのお陰かと思ったが、身につけていたのは、ターコイズ色ではあるが七宝のネックレスであった。
霧箱は、何もかもが崩落していくようなイメージ、砂山が崩れ落ちていくようなイメージが、どこか幻視者スティーヴ・エリクソンの小説を思わせるのであった。この箱のなかで起きる現象も、どうしようもないぐらい美しい。ただ、こちらは鉱物と違って、美しいが物哀しい。
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中村びわ

Author:中村びわ
2004年から2011年まで書いてきた
「本のシャワーにさらす肌」
http://biwa.blogtribe.org/を、
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