スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【No.1144】文学の生まれてくる風土…4月17日

きのうは渋谷Bunkamuraで「国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア」を観てきた。
この展覧会、6/13-7/21に岩手県立美術館、7/28-10/18広島県立美術館、10/24-12/13郡山市立美術館を巡回する予定。
分かりやすい絵で、古い時代のロシアの田園地方と人びとを訪ね歩く旅をしているかのような気持ちになれる。さらに、分かりやすさだけではない「何か」を感知することも可能。良い絵が何枚もあり、質高い企画展示だったと思うので、機会あらば……。

トレチャコフをモスクワのどこかの地区か何かの地名だと思っていたのだけれど、バーンズや松方、川村などと同じ収集家の名前であると知り、苦笑いしてしまった。自国の絵画にこだわり、それも画家から直接買い取るということを大切にした、目利きとして別格の人物であったということだ。彼は博愛主義の商人であり、それゆえ実は今回の看板作品は、その絵の持つ意味を良しとしなかったトレチャコフの死後初めて、コレクションに加えられたという。

門外不出のバーンズ・コレクションが来たとき、絵の具の色があまりに生々しく、つい最近描いたようだと感激したが、このトレチャコフ美術館のコレクションもとてもきれいな状態だと見受けた。コレクションが膨大だから順番に飾っていてこうなのか、ほこりが少なく寒冷な土地柄であることが保存に向いているのか、帝政ロシアが立派だったから良い画材が使えたのか、何が原因なのかは分からないけれども、とても19世紀後半、20世紀初頭に描かれたものとは思えない感じがした。

ポスターを飾る美人画は、私【No.1134】で「忘れえぬ人」と書いてしまったが、日本では「忘れえぬ女」、ロシアでは「見知らぬ女」――これも上野の国立西洋美術館だけでなく、北海道にだけ来たこともあるようで、世界のあちこちに貸し出されているのだろうが、ほこりをかぶっている形跡がない。良い状態の名画を間近に観ることができ、嬉しかった。
どこかのフェルメール展と違い、Bunkamuraはいつも絵との距離をあまり置かずに見られるので、とても良い。東急はカルチャー教室もやっていて、五島(強盗と揶揄されていた人)のプラネタリウムもあったし、昔から文化事業に貢献高いグループだから、絵を描く人、絵を見たい人がどう観たいのかをよく心得ている展示だと感心する。
関係ないけど、何か今度、傘下に大学もできたって?(ではなく、東京都市大学に改名した武蔵工業大学が東急グループとの連携を強めるとかいう話で、就職に有利になるらしいと塾や予備校で盛んに勧めているみたい。ムサ工は昔から就職はそう悪くない印象だけどね。メリットが出たのは、むしろ東横学園の方でしょう。グループ企業で働く人のために保育士さんが必要になるのかな)

Bunkamura、昨日はさほど混んでいなくて(「世界的な景気悪化」の影響もあるのだろうか。オーセンティックな品揃えの東急本店は、確かに鉄のカーテンの中にあった国の美術館かっと思える人気なさであった)、「忘れえぬ女」も1人きりで見られるタイミングがあった。一度通しで観てから、再度見直したいものをいくつか見るのが私のスタイルなのだが(だから正直、人とは行きたくない)、2度めに彼女のところへ戻ると、70がらみのスーツを着た男性が、近寄ったり遠ざかったり舐めるように眺めていた。
その男性、出口でも一緒になり、カタログを買っていたのだけれど、代金をお財布から出すのに2分はかかっていて、会計の女性をやきもきさせていた。後ろで精算を待っていた私は、「日本の貴婦人は、この後、メシ食ってからバーゲンに行かなきゃいけないのだから、早くしておくれ」と思っていた。まあ、これはどうでもいい話。

「忘れえぬ女」の他に、見どころはいくつかある。
全体の構成が「抒情的リアリズムから社会的リアリズム」「日常の情景」「リアリズムにおけるロマン主義」「肖像画」「外光派から印象主義へ」の5部に分かれていた。クラムスコイ「忘れえぬ女」は「肖像画」のグループに入れられていたみたい。
素晴らしかったのは「リアリズムにおけるロマン主義」の風景画のいくつかで、この何枚かに「ロシア異界幻想」を抱いた。
江原某氏ではないが、最近、霊感の高まりを自覚する私は、何枚かからビリビリッとくるものを受け止めた。

ロシアは民話の宝庫であり、迷信や語り伝えが多い。そういったものや風景がかもし出す詩情が、絵画に限ったことではなく、偉大なる芸術作品の数々を生み出したことは想像に難くない。
そういえば、最近読んだこの本でも、一番興味深く感じたのは「迷信」である。
<つづく>
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

中村びわ

Author:中村びわ
2004年から2011年まで書いてきた
「本のシャワーにさらす肌」
http://biwa.blogtribe.org/を、
こちらに引き継ぎます。

最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
RSSフィード
ブログ内検索
リンク
QRコード
QRコード
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。