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【No.1138】風の男たちとそよ風の子どもたちのつづき…3月10日

この時期の読みきかせに良い本のご案内。
候補がいろいろあっても、30分程度のおはなし会を誰かと組んでやると、自分が使えるのは3冊ほど。
だから、実際には子どもたちの前で試していない本もある。

この3冊は、テーマが引越や入学。
プログラムの流れにも左右されるが、どれも文字量がそこそこあるお話なので、就園前の小さな子たち相手だと、ざわついた場所で読むのはやや辛い。読み手の力量やら、しっかり聞けるお友だちが周囲に揃っているかやら他の要素もあるのかしらんが、最後まで集中してもらうには微妙な長さ。
どれも、お話の内容は良い。

『と・も・だ・ち』は、イギリスの絵本。新しい家に越してきたアンディが友だちを作りに出かける。彼は一緒に泳いで遊んでもらえる友だちを探している。けど、ゴミ捨て場で遊んでいる子やお転婆な女の子、ロックンローラーみたいな子や博士みたいな子の様子を見て、引いて、親交を深められずに帰ってきてしまう(大人の皆さんも自己投影でき楽しめそう)。
でも、母親に「もし、おともだちを つくりたいのなら、あいての ありのままを、だいじに おもってあげなきゃ、ね」(まつかわまゆみ訳)と言われて、出直す。すると、昼間それぞれひとりで遊んでいた子たちがペアになって遊んでいるのを見て、(もしかしたら、ともだちを つくるのって、およぐことより だいじなのかも。)と思う。で、一人ひとり相手に、どう一緒に遊べるかを仕切り直す。……とまあ、ネットやケータイ依存のひきこもり傾向にある人を集めて読みたいような一冊(笑)。
向こうの本なので、「だきしめて」「キスして」という表現があり、場を選ぶ必要があるけれども、絵の感じもしゃれている。

『くものがっこう』は『葉っぱのフレディ』のみらいななさんの作。
雲の子の「うんぼく」「うんなん」「うんせい」「うんとん」が学校に入る。そこでは、隣同士で体をぴったり寄せ、皆で曇り空を作れるようになったら卒業なのだ。それで、いろいろな形に変われるように練習を始める。丸や三角、長い四角、好きな形など。
こういう設定が面白いし、最後に曇り空を見事に作ったあとの展開が素晴らしい。だって「クライマックスが曇り空じゃ、絵的にどうなのだろう」と思うわけですよ。そこから絵がカラフルになり、その絵が心に残るような流れにしている。非常に良い後味。
この本は、学校現場で助け合って何かに取り組まなきゃいけないようなとき、例えば運動会の出し物の練習をするようなときに、導入としても良い。対象は中学年ぐらいまでかな。

『ランドセルがやってきた』は良い企画。ランドセルを扱った絵本はあるが、おはなし会で使いたくなるような楽しいものって、あまり思い浮かばない。
中川ひろたか&村上康成の定番コンビなので、パフォーマンスは水準を行くもの。五味太郎、とよたかずひこ、村上康成といった絵本作家の作品は「また、この人のこの絵柄か」と受け止めてしまうけど、必ず絵にアイデアがあるので、選書としては手堅い。
これは、学校から帰ると、おじいちゃんから入学祝いとして送られてきたランドセルが届いているところから始まる話。色がどうだ、匂いがどうだ、大きさがどうだと形状をめぐる話を母親としていて、その辺にあった新聞や家計簿などを入れて、かついでみることになる。かついでみると外へも行きたくなり、出かけて行って、近所の人たちに声をかけてもらえる。
ご近所コミュニティが機能している社会が羨ましくなるような設定で、子どもたちが育つ環境がこうあることを願ってやまない、という筋違いのコメントをつけたくなる。

こちらの3冊は春らしい本。
『とってもいいひ』はプログラムの最初に持ってくるといい感じであった。
最初は「なんて わるいひ なんだろう」(いしいむつみ訳)で始まる。それで表紙にいる鳥や動物たちに起こった良くないことが順番に紹介されていく。半ばぐらいに「でもね でも そのあとで」で切り返しがあり、「災い転じて……」良くなる状況が紹介されていく。
すきっと短いが、絵柄がくっきりしていて一画面ずつのインパクト強く、焦らずゆったりと読んで聞かせられるのが良い。題通り「とっても いいひ」で終わるので、「さあ、これから何を読もうか」と続けていける雰囲気が整う。

『ふしぎなはなや』はミステリ風。
けんたという男の子が語り手で、彼のうちは花屋。男の子なのに花屋なんて、と思っている。
父親が温室で花の栽培をしていて、母親が店でそれを売っている。どちらの仕事ぶりも不思議で、それもそのはず2人は魔法使い。知らぬは息子ばかりなりで、夜、夫婦は息子が跡を継いでくれるかどうか話をしている。
杉浦範茂画伯の絵が絶品ですね。これ、元は「キンダーおはなしえほん」という幼稚園児向けペーパーバック絵本だったようで、一般書店では流通しなかったものだけど、眠っていた作品をよく掘り起こしてきた。と言うより、杉浦範茂作品をペーパーバックだけで放置しておいたのは失礼だった。上製本になって、よかった、よかった。

『ちびっこぴいた』は期待の新人作家こばやしえりこさんの作品。タブロー画では内外で活躍の実績があるということで、絵はかわいいし、きれいだし、ユーモアもあるし、デッサン力はあるし……。ただ、お話が長過ぎる。長過ぎて、とても会では扱えなかった。
カイツブリの夫婦に生まれた3羽の赤ちゃんの末っ子の話。エサを探しに行って、お兄ちゃんやお姉ちゃんにかなわなかったり、池のあちこちで珍しいものに会ったり、怖い目にあったりなのだが、繰り返し話のパターンが3つほど織り込まれるのは辛い。見せたい絵ばかりだったと思うが、欲張らず画面数も文字数も削った方が良かった。しかし、すべての絵本が読みきかせ用というわけではない。夜、お話好きな子を寝かしつけるには、じっくりこのぐらいの分量の本で満足させてあげたい。

『こんこん こんなかお』も村上康成本。お話を作ったのはますだゆうこさん。
パートナーが見つけてきてくれた本だが、「りんごに顔があるとどうなるか→笑い顔」「やかんならば→おこり顔」という具合に次々展開していくので、皆で絵の真似をして遊ぶのに楽しい。そうやって体や顔を動かすようにしてあげると、場がほぐれますから……。
おはなし会をする人にとっては、大変に有り難い内容の本。
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プロフィール

中村びわ

Author:中村びわ
2004年から2011年まで書いてきた
「本のシャワーにさらす肌」
http://biwa.blogtribe.org/を、
こちらに引き継ぎます。

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