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【No.1032】冷凍睡眠…6月11日

伝説的復刊本だというアンナ・カヴァン『氷』を一度読み終えて、もう一度ぱらぱら要所要所だけ読んでみた。それで、きょうはこの本のことで頭をいっぱいにして、考えたことを書いてみて投稿する。終末世界を描くのに、何で「氷」を利用したのかという考察が中心。
オンライン書店bk1の書評は、以前1600字制限だったものが3000字まで可能となり、引用文も心おきなく使えるようになったはずなのに、いざ投稿しようとしたら字数オーバーで、「あれっ? そんなに書いたかっ」と思い、カウントしたら3600字だって……。原稿用紙9枚分も、よくもだらだら、と。
苦労して削りに入った。さして内容もないことを簡潔に書けないって、一種の病気だという自覚もなきにしもあらず。このぐらいの分量になるなら、序論・本論・結論の三部構成でかちっと書くべきだ。

途中、冷凍睡眠のことを思い出した。ハインラインが書いたSFの傑作『夏への扉』に使われていたガジェットだ。
この小説、青年とユニークな猫との交流が面白く、気になる女の子のために冷凍睡眠で時間旅行を試みるというストーリーの後味がさわやかで、10代のうちに読むべき本という気がする。

そこから、冷凍睡眠ということで、いろいろ思い浮かべる。
「この人、年を取ったら渋みが増してより一層素敵になるだろうな」と思える人物が、またしても子ども関係の人脈で現れたので、例えば自分がその人を待つとして――と想像を始める。でもね、それじゃあ、ノーマルでつまらない。
これがたとえば、40歳の男性が7歳の少女、それも昔、自分の恋人だった女性の娘が大人になるのを待つという話でも、そうは面白くない。どこかで聞いたことがあるような話だ。
それでふいっと浮かんだのが、3人の子を持つ美しい女性の言葉で、彼女が前に「お兄ちゃん(彼女の長男のことです)大好き。結婚したいくらい好き」と言っていたこと。若くして出産して、その子とともに自分が成長してきたと思えるからの大好き発言だったのだが……。
そのようにして大好きという意識的なものがなく、冷凍睡眠から目覚めたとき、それと知らずして我が子に恋をしてしまうという近親相姦的な物語にすると、かなり行けるのではないか、と。
行けるというのは小説として……なのだが、私の場合、それを実作につなげていくつもりはなく、このようにプロットを書きながら、「そうだ、そうだ。あれはそうして……。そこがこうなって」と夢想していると、すでにもう書いた気になって満足があり、さあ、それじゃあ、別の小説でも読もうかということになる。

お付き合いのあった絵本作家でも、「ラフスケッチを作ると、さーっと本絵のイメージが出来上がって、それでできた気になる」と話していた人がいた。

先般鬼籍に入られた童話作家の小沢正氏もそういうタイプの人だった。
会うたび珈琲専門店で2時間ばかり話していると、「たとえば、こんな感じで……」と、ずいぶんいろいろな物語をしてくれたっけ。でも、オリジナルの原稿は滅多上げない不思議な作家だった。
そもそも児童文学者なのに『ゲド戦記』『指輪物語』などのハイファンタジーは読んでいないというようなことを言っていて、ヘンリー・ジェイムズの話などしていた。正に、氷の世界に閉じ込めたいような、得難い知性だったのに……。
『めをさませトラゴロウ』は、日本児童文学の紛れもない金字塔である。

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中村びわ

Author:中村びわ
2004年から2011年まで書いてきた
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