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【No.1117】ウッシッシーと行こう!(1)…1月2日

どういう意味なのか全く考えちゃあいないけれども、ほとんどの年賀状に「ウッシッシーと行きましょう」という一言を添えて出しておいた。意味づけはあとから来るものなので、事が終わってから「ウッシッシー」と軽く笑えれば良いのではないでしょうか。

それにしても、2009年というのは現代だとしても、「国民読書年」と予定されている来年が2010年と・は~! 
1980年ぐらいから考えたときは、2010年などというのは、まるでSF世界であった。そして、実際にSF的だったことが実現している。
本日、狙い通りのバーゲン獲物が得られなかった新宿からの帰り道、電車内で前に腰掛けた中坊がiPodを聞きながらPSPをやっていて、途中で携帯電話を取り出した。「ええい、どれか1つにせんかい!」と声をかけたくなりながら、「この場面、電話を壁にくっつけたまま漫画に描いていた手塚治虫さんに見せたいものだ」と思った。

年末年始の読書は下記の通りで、少しずつ読み進めている。いずれもラディカルなまでに革新的な内容であり、堂々たる書物、一級の「芸術」の数々。
ユルスナール、ハドリアヌス、石鍋真澄、ピエロ・デッラ・フランチェスカ、バージェス、キューブリック……。
なしてこの3冊なのか、精神分裂気味の趣味として、ちぐはぐな印象を与えるかもしれないが、割にすんなり脈絡づけができる。
「点」としてあるもの同士を理由づけしながら結びつける力が年と共に備わってくる。読んでもタダじゃあ起きない。つまり、「どういうこじつけをしてでも自分の教養ストックに加えてやるぞー、ウッシッシー」という気迫で読もうという意地が備わってくるのだよ、明智くん。

観た映画のパンフレットは必ず買うようにしているのだが、恥ずかしいことに、昔はパンフレットの奥付部分にいちいち観た日付と場所を書き留めておいた。
先ほど「1980年」を出したのは当てずっぽうではなく、キューブリック監督「時計じかけのオレンジ」のパンフレットに「1980(S55).7.11.新宿名画座ミラノ」と書きつけてあったからなのだ。名画座ミラノで観たということは、何かと2本立てであったはずだ。あの頃、この作品と抱き合わせで観ていたもう1本は何であったろう。
キューブリックやタルコフスキー、ワイダ、ヘルツォークなどが劇場でバカスカ見られた時代であった。毎週「ぴあ」を買って観るものをチェックしてから、出席できる講義を決めていたのだ。
蓮実重彦氏(つい先日、地元商店街セイジョーの前で奥さんとぶつかりそうになった)「映画表現論」のゼミから巣立った人たちが今の日本映画界の一派となって君臨しているけれども、こうした名画座のいくつかで学んでいた彼らと隣り合わせていたこともあったかもしれない。

とか何とか感傷にひたっている場合ではなく、昨年ハヤカワepi文庫で出た、表紙装丁がえらくかっちょいい『時計じかけのオレンジ』が大変なことになっていた。幻の最終章が入った完全版で発行されていたのだ。
原作のアントニイ・バージェスは英国の作家だが、これが米国で発行されたときに最終章が削られていたというのだ。それもあって日本のハヤカワ文庫版も最終章が欠落していた。そして、キューブリックの映画もまた、最終章を欠いたままの映画となってしまっていた。

この本と映画の内容を知らない人には、正月からこういうえげつないものを取り上げる非礼が感じられなくて、それはそれで結構である。とにかくまあ酷い内容で、暴力、強姦、殺人といった非道の限りを尽くす若者がムショに送り込まれる。近未来の管理社会という設定になっていて、主人公のアレックスに限らず、夜の街に暴力が横行しているため、体制はアレックスを見本として矯正するために「ルドビコ法」という自由意思を殺す処置をするのである。
巻末に翻訳家の柳下毅一郎氏が解説をつけている通り、最後章があるかないかで、一連の暴力が「単なる寓話」なのか「青春特有の一過性のもの」なのかに針が振れてしまう。
何かイケてるものを読みたいという若い人は、あられもない暴力場面に興奮しながら読んで頂いて結構である。まだ10代でこの映画を観た私も半分ぐらいはそういう感じであったが、作品の本質は「邪悪なものを社会の中でどう統制していくか」「邪悪なものも含めて自由意思がどう扱われるべきか」といった深いところに達するものであり、章が1つあるかないかだけで、その問いかけ方や作者の意図するところがガラリと変わってしまう。
そういう意味で、2008年納めの本としては非常に刺激的であった。

そうそう、この項で紹介する本は大人向けの本ばかりなので、お子ちゃまは手に取らないでくださいね。PSPでガンダムかBLEACHでもやって遊ぼう!
『時計じかけのオレンジ』はそうねえ、「R15」ぐらいですかねえ。
<この項つづく>
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中村びわ

Author:中村びわ
2004年から2011年まで書いてきた
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