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【No.1115】ミキモトで朝食を…12月25日


いつも通るお家の庭先に登場したクリスマス飾り。
右側奥にも家の形の飾りがあるけれども、この家のご主人がしょっちゅうこういうものを製作しているのを見かける。
昔、外国航路の船に乗っていたと言われている老紳士で、確かに家回りにアンカーやらオールやらが置いてあり、それらしき雰囲気を漂わせている。おそらく悠々自適なのだろう。第二の人生で魔法の手を使い、ひたすら家型の明かりや巣箱など美しい小物を製作している。
思い切って声をかけ、息子を短期間、弟子入りさせたいと考えたこともあるが、明らかにご迷惑なことであるので、実はまだお話したこともない。
家回りにはランプも多く、地元に住む私たちは「ランプのおうち」と呼んでいる。

この白い塔は数週間前に忽然と姿を現した。
「今度はまた、どえらい大作だなあ」と感心しながら通り過ぎ、今度こそ、これが何なのかということで話しかけようとしていたのだが、ご主人と今日まで出くわしていない。
それで昨日、夕暮れ時に通りかかったら、電飾が取り付けられ、チカチカとまたたいていたのである。
こういう仕掛けだったのかと感激し、「ああ、きれい」としばし立ち止まって見学していた。
今朝、ようやく明け始めた時刻に、スキー用の大きな荷物を担いだ息子を途中まで見送って行ったときも輝いていた。

たぶん、イブとクリスマスの日だけの点灯だろうと思う。そういう控え目な感じが、昔からこの辺に住む人たちにはなじみあるものなのである。古いものをこわれるまで使い続けるというように、「吝嗇(りんしょく)」とも言えるまでの質素倹約の気風がある。
だから「世田谷はベンツ保有率が高い」と言われても、実はベンツ他の高級外車を保有している半分ぐらいは、ここ10年か20年ぐらいの居住年数の人のようにも思える。
立派なお家の前には、朝、黒塗りの車が迎えに来る場合が多い。もちろん運転手付きの社用車や公用車である。高級外車でステータスを語るというのはバブル時代の発想だろう。本当のステータスに感じられるのは、静かに乗り込んでいく黒塗りの車であり、緑豊かな庭先にある保存樹木に指定されたような大きな木であり……。そういう家では、子どもたちが巣立つとき、実はこっそり不動産の権利が手渡されているようなことが多いようだ。
「格差」を語るとき、ヒルズ族のようなIT長者が挙げられるけれども、親の代、その前の代から受け継いだ駐車場やアパートをいくつも持っているような地主さんの家を何軒か知っている。格差の本当のてっぺんは、そういう一族たちではないだろうか。

徐々にクリスマスの話題から外れてしまった。
にぎやかに過ごすクリスマスではなく、サイレント・ナイトにふさわしい本をいくつか挙げてみようと思っていて、クリスマス当夜になってしまった。

最近たまたま読んだこの3冊が、自分への贈り物として良い感じだと思えた。

村上春樹訳のカポーティ中短篇集『ティファニーで朝食を』をまずは……。

こちらの新潮文庫の旧版・龍口直太郎訳の表紙カバーのように、オードリー・ヘップバーンの映画の印象が強い『ティファニーで朝食を』だが、原作を読んでみるとそのイメージがだいぶ異なる。これについては、またあとで書き足すことがある。
小説『ティファニーで朝食を』のなかには、映画の中ではあったかどうか、なかったような気がするのだが、クリスマスプレゼントの交換の場面がある。これがO・ヘンリー『賢者のおくりもの』の影響もあるのではないだろうか、それと同様に切ない贈り物交換なのである。
また、他に3つの短篇が所収されているのだが、最後の1つは『クリスマスの思い出』であり、カポーティの少年時代のことが色濃く反映されていると言われている何とも美しく、しかし寂しい読後の名作である。

3冊並べた真ん中は、前にも貼りつけたがルネッサンス期の巨匠ピエロ・デッラ・フランチェスカの大作「聖十字架伝説」にまつわる物語。絵に描かれたシバの女王の愛と、画家であるピエロの愛が並行して語られていく。どちらも作家が作り出したフィクションである。実話ではないものの、歴史に興味がある人向けだと思えるし、物語好きな人には手ごろな厚さの本なのに、物語の充実感に満足の行く1冊であると思う。

3冊の右端の絵童話『お医者さんのながいながい話』は、「ロボット」という言葉を生み出したチェコの文豪カレル・チャペックの童話。岩波少年文庫で童話集『長い長いお医者さんの話』がロングセラーとして定着していて、そちらの挿し絵はチャペックの兄ヨゼフの手になる。
この絵童話は、表題作だけ取り出し、日本の画家が絵をつけている。絵本の出版実績のない着物や帯の型染家である関美穂子さんが手掛けているが、その優れたデザイン感覚の絵が楽しく、また造本も凝っている。武井武雄、初山茂、茂田井武など、「コドモノクニ」「子供之友」といった古い雑誌に寄った素晴らしい童画家たちの画風を思い出させる。
「チャペック童話 絵本シリーズ」の2冊目であるが、この先どういう展開になるのかが楽しみ。
<この項つづく>
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中村びわ

Author:中村びわ
2004年から2011年まで書いてきた
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http://biwa.blogtribe.org/を、
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